“いざというとき慌てないために” ペットちゃんが亡くなるとどうなる?
執筆日2023年3月13日
あまり考えたくはありませんが、私たち人間も含め、生物が亡くなった後、身体に起こる変化の一つに「死後硬直」ということがあります。
実は、非常に稀に死後硬直しないペットちゃんがいるのをご存知でしょうか?
この記事では、いざという時に驚かないために、ペット葬祭業に長年携わってきた経験から、そんな稀な事象もあるということをペットちゃんと一緒に生活している方々へお伝えいたします。
執筆者
16歳で出家し22年、小坊主から修行し僧侶として18年。2016年にペット葬祭事業を個人事業主として立ち上げ、2020年に法人化。お坊さん兼会社の代表として二足の草鞋を履きながら累計6,000件以上ペット火葬に従事。2022年にペット霊園を開設、僧侶としても日々、修行中。
“死後硬直”とは?
身近な方や過去にペットちゃんを亡くされた経験がある方はお分かりになると思いますが、死後一定時間が経過すると生体の筋肉が硬直する現象のことを「死後硬直」といいます。
この現象は、死後2時間ほどで徐々に始まり、時間の経過とともに進行して全身の筋肉に広がります。
あまり知られていませんが、硬直が最も強くなるのは約12時間から24時間後で、その後ゆっくりと緩んでいきます。
しかし、ペットちゃんの中には、稀に死後硬直しないペットちゃんがいます。
これは科学的にはまだ完全に理解されていない現象であり、その原因についてはいくつかの説があるようですが、私がご遺体に直接触れている中で、80体〜90体に1体ほどの割合で死後硬直しないペットちゃんがいるのです。
一つの説としては、個体差や健康状態によるものとされています。例えば、特定の遺伝的な要因や基礎疾患がある場合、死後硬直が発生しない可能性があります。
死後硬直しないと、問題はある?
ご遺族の方から、うちの子固くなっていないんです‥。と心配されているケースがあります。
結論から申しますと、火葬の際「死後硬直しない」ことに問題は一切ありません。
私が経験した中でも、ハムスターちゃん、ウサギちゃん、虫類ちゃん、犬ちゃんや猫ちゃん。セキセイインコちゃんや文鳥ちゃんなどの鳥類も死後硬直しなかったこともありました。
ウサギちゃんなどは筋肉質ですが、死後硬直しない子もいます。
太りやすいペットちゃん達も死後硬直しない子もいますし、病気だった子や平均寿命より長生きした子もいます。
ペットとともに生活する以上、必ず訪れるペットちゃんとのお別れ。
非常に少ないケースではありますが、このようなこともあるということを知っておくことも大切なことだと思います。
“死後硬直”について
そもそも、死後硬直が世間に広く知られるようになったのはサスペンスなど刑事ドラマが切っ掛けではないでしょうか?
事件性がある場合、やはり死後硬直は重要な点で法医学などでは重要な調査項目になっています。
「死亡推定時刻は○時」。誰もが聞いたことのあるセリフです。
そのため、人の場合は死後硬直について深い研究がされているかと思いますが、ペットちゃん達の場合は調査や研究されている方がほぼいないのではないかと思います。
なぜ、死後硬直する子と、しない子がいるのか。
何かしらの理由はやはりあるのかも知れませんが、現状何もわからない訳です。
調査するのも、費用が掛かります。
何より、解剖など含めた調査の為にご遺体を傷つけるかもしれない献体をされるご家族さんは、ほぼいないのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、この記事を見ていただいた方にお伝えしたいのは火葬の際に問題になることは一切ないということです。
死後硬直する、しないは、その子の個性。
そう受け止めて頂ければと思います。
死後硬直しない事への問題
死後硬直しない事の問題がないかと言えば一つだけあります。
それはやはり、ご遺族の気持ちに大きな影響を与えるという事です。
だんだんと身体が硬くなり冷たくなっていく大切なペットちゃん。
死後硬直というのは亡くなってしまったと実感する“死のご様子の一つです”
しかし、死後硬直がなくご遺体は柔らかくまた僅かに温もりもある。
この現実に出会う際、ご家族様は「寝てるんじゃないか。」、「亡くなっていないのではないか。」と、死の現実をなかなか受け止められない場合があります。
呼吸もなく、瞳から命の輝きは消え、間違いなく亡くなられているのですが、それでも最愛のペットちゃんの死と「辛い現実」を受け止める際に、死後硬直とご遺体特有の反応がないと気持ちの整理に時間が掛かる方が少なくありません。
ご遺体の保存方法
死後硬直しないペットちゃんを目の当たりにし、ゆっくりお時間かけて気持ちの整理をして頂きたいのですが、次に必ずやってくるのが「腐敗」という現実。
個体差はありますが、死後、数日経過すると体内の微生物が活発になり、ご遺体はどんどんと腐敗が進行していきます。体内にはガスが生成され、体が膨張し始めます。
特に夏場などは数日経たずに腐敗が進んでしまいます。
腐敗臭という独特な匂いも出てきます。
大切なご遺体を守るため、たとえ死後硬直していない場合でも、亡くなった後はなるべく早い段階で、必ずご遺体を冷やすようにしてください。
私も数千件を超えるペットちゃんとのお別れのお手伝いをさせていただきましたが、ペットちゃん用のお棺には、段ボール製のものなどが販売されていますが、段ボール製のものでは、結露等により強度が徐々に失われてきます。
それであればホームセンター等で販売されている発泡スチロールの箱の方がまだ良いのですが、市販されている発泡スチロールをご一緒に火葬すると、火葬車の火力では不完全燃焼となり、黒煙が非常に多くでてしまいます。
現場で感じてきた課題から弊社では「ペット棺」を制作いたしました。
なるべく長くペットちゃんと最後のお別れができるよう、素材や環境問題にも配慮した素材で制作し、ペット棺としては初となる特許も取得しているペットちゃん専用のお棺となります。
ご興味がございましたら、ぜひご覧ください。
あとがき
ペットちゃんの死後硬直が話題になるのは、葬儀屋さんに全てお任せする人とは違い、ご家族が亡くなった後も深く関わるからこそではないでしょうか。
身体を拭いてあげたり、綺麗に整えてあげたり、ご遺体の安置にも気を配る。
ご家族で最愛のペットちゃんを送る準備を行っているからこその気づき、疑問だと思います。
吃驚されたご遺族の皆様にとって、本記事が少しでも安心してお見送りできる情報になればと願っております。
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