ペット火葬 黒い物の正体!都市伝説?

執筆日2021年5月18日
加筆日2023年5月25日

火葬の後に、残る黒い塊。癌、腫瘍、悪い所などお話を聞いた方も少なくないかと思います。都市伝説、ペット火葬業者の嘘と言う意見もあります。詳しく解説したいと思います。

執筆者の自己紹介

  • 16歳で出家し21年、小坊主から修行し僧侶として17年
  • 2016年にペット葬祭事業を個人事業主として立ち上げ2020年に法人化お坊さん兼会社の代表として二足の草鞋を履きながら累計4,500件以上ペット火葬に従事。
  • 2021年に自社ペット霊園を開設。
  • 2022年 ペット棺の特許を取得。
  • 2023年 誰でも簡単に冷却・長期保冷、火葬も対応したペット棺を商品化

僧侶としても修行中です。

黒い物は確かに残る場合があります

こちらにお写真を貼り付けております。自己責任の下でご確認下さい。

なお、写真は腫瘍がある犬ちゃんの火葬依頼の際、ご家族の方にご依頼されて撮影された写真となります。実際残った事実を伝えて下さいと写真の公開と合わせてブログ記事の執筆となりました。

弊社、光堂としましては残留物と言えご遺体の一部を撮影し公開する事に強く抵抗を覚えておりましたが、現在流布される情報の信頼性、また全国で活動される多くのペット火葬業者を嘘つき呼ばわりする意見を見て、些か言い過ぎではないかと把握している情報をお伝えする事に決めました。

では、ご説明したいと思います。

火葬とは何か?

先ず、ご理解して頂きたいのが火葬とは何かです?

通常、燃焼とは物体を炭化させながら完全に灰化するまで燃やす事です。

火葬とは、ご遺体を燃焼し骨化させご遺骨を残す為に途中で止める事です。

ご遺体の燃焼のプロセスですが

炭化→骨化→灰化

となります。

通常は、燃焼では炭化から灰化のみです。

この間の骨化こそ、火葬の目的な訳です。

仏教的風習が根付いている日本では、ご遺体を完全に灰化させるのではなくあえて途中でお骨が残る状態で留める骨化が大事にされてきました。

お骨、ご遺骨は死後の故人の象徴として大事に供養される対象であるからです。

ペット火葬でもそれは引き継がれペットちゃんのご遺骨は残す事は重視されます。

仏教の開祖、お釈迦様の火葬され残ったご遺骨を仏舎利として大事にお奉りした仏教行為がそのまま現代の仏壇、お墓など故人を奉る行為になった訳です。

土葬などに比べ火葬では、ご遺体を燃焼させる為に大きな労力が必要になります。お釈迦様が生きていた2500年前の古代では火葬炉などそういった装置はなく野でご遺体を薪などを燃料に火葬を行っていました。人の身体の6割は水分と言われるように、ご遺体の火葬するには大変多くの薪が必要です。

現代から見ると完全に灰化させるまで温度は上がらず、お骨が残る状態が精一杯出せる燃焼温度だったのではないかと思います。

お骨を残す為の燃焼を火葬と供養の形が自然と出来たのではないかと思います。

近代に入り薪は石炭、重油、灯油と燃焼力を高め火葬炉と高温を簡単に維持できる装置が登場した事で完全に灰化させる事ができるようになりました。

黒い塊が残らない、残る論争はこの状況下だから生まれたのだと思います。

燃焼し続ければご遺体の全てが灰になります。

タンパク質や脂肪など有機物は燃焼し酸素と結合し二酸化炭素へ

骨などカルシウム、鉄分、ナトリウム、マグネシウム、カリウム。

無機物は、全て灰となり残ります。

肉体と骨、灰化するまでの燃焼時間の違いが骨化なのです。

肉体を灰にしながら骨はご遺骨として残す。これが火葬です。

火葬として、どこまで燃焼を行うかです。

お骨を残す事を重視すると黒い塊も残る場合があります。

完全に燃焼する事を重視すると黒い塊は残りませんが、お骨の一部が灰化してしまい崩れてしまいます。

お骨をどの状態で残すのか。この方針の違いが黒い塊が残るか、残らないかの結果になっているのです。

火葬炉を扱う従事者が、体重、体格などから判断して規定の時間通りに燃焼すれば黒い塊を見ることはないかと思います。しかし、ご遺骨を出来る限り良好な状態で残したい火葬を行う従事者だと黒い塊を目にする訳です。

火葬炉の性能と言う意見も確かにありますが、長時間燃焼すれば黒い塊は消えます。しかし、同時にお骨もまた灰化が進み崩れます。

腫瘍が黒く残った写真は?

火葬と出来る限りお骨を残す中で、やはり腫瘍などは黒い塊として残ります。

通常、火葬炉は奥に設置されたバーナーから火が送られ燃焼させます。

お尻、お腹、胸部、頭部。

頭をバーナーから一番遠くに置くのは、頭部のご遺骨を綺麗に残す為です。

お尻の方からお腹、お腹から胸部、そして頭部と燃焼が進んで行く訳ですが写真の腫瘍はお腹にあり、頭部の火葬が終わっても最後まで黒い塊として残りました。

こういった経験をされているペット火葬業者さんは多いかと思います。

あくまで私見となりますが、お骨よりは早いですが腫瘍部分は他の肉体より灰化しにくい為に残った結果ではないかと思います。

筋肉質な体質のペットちゃんと標準的な体格のペットちゃん、太めのペットちゃん。

同じ体重であったとしても、火葬時間は変わります。

特に、顕著なのがウサギちゃんです。

脂肪が少なく筋肉質なウサギちゃんは、同じ体重の犬ちゃん猫ちゃんより火葬に時間が掛かります。

同じように、筋肉質、脂肪に比べて腫瘍部分は残りやすいのではないか?

腫瘍、癌細胞は一つの癌細胞から増殖し続けます。

結果、特定の部分に癌細胞の塊が作られます。火葬の際に燃焼に時間を要していると私は予想しています。

ご遺骨が黒っぽい原因は?

ご遺骨が黒く煤けて残る場合があります。

原因は、燃焼温度不足です。

通常850℃から900℃くらいの燃焼温度ですと綺麗に白骨のお骨が残ります。

軽車両に搭載する小型火葬炉車では、火葬炉の燃焼性能が低い為に温度が不足する場合があります。雨天や冬場など外部環境の影響で温度が下がってしまう訳です。

750℃や800℃で火葬した場合、お骨が黒く煤けた状態で残ります。

ペットちゃんの体質などでなく、ご依頼したペット葬儀社が使用する火葬炉の性能と扱うスタッフの技量が原因です。

時代の流れ

人のご遺体もかつては悪い所、腫瘍などは残るなどの話を耳にした方は多いでしょう。

最近そういった話を聞かない理由は、火葬炉の高性能化にあります。

かつては、火葬は熟練の火葬技師さんの腕により成り立っていたそうです。

2000年以降、最新式の火葬炉が登場。

高齢化社会を迎えながら火葬場の新規建設は周辺住民の理解が得られない事から容易に進まず、既存の火葬場の性能を上げる事になりました。火葬と言うお骨を残すより短時間で燃やしてしまう事が進められています。

火葬待ちと、ご遺体を火葬する日まで預かる簡易安置施設が出来る昨今、いかに効率よく燃焼し回転率を上げるか機械で管理された火葬場では、もはや黒い塊など見る事はないでしょう。ご遺体を火を持って弔う火葬場でなく、焼却場となりつあるのではないでしょうか?

どうしても、新規の火葬場は作れない、高齢化社会で火葬を待ち続けるご遺体。

悲しい現実がそこにあります。

「人のお骨はボロボロでしたが、ペットは丈夫なのか綺麗に残るんですね。」

そう言う話を聞きますが、違う訳です。

人のお骨もかつては綺麗に残っていました。現代には、黒い塊ともども高火力で灰化させてしまってるのだと思います。

最後に

ペットちゃんの火葬炉は、ある程度の機械化は行われていますが火葬技師としての調整が出来る余地がある訳です。

僧侶として、または火葬従事者として、場合によっては黒い塊や後が残ってでもお骨を出来る限り綺麗に残すべく精進していきたいと思っております。

お釈迦様の火葬から始まったお骨を大事にする、ご供養の一環だと思っています。

黒い塊、腫瘍や病巣説や焼け残り説、皆さんの中で一つの答えを出す参考にして頂ければと思います。

加筆部分

4,500件、様々なペットちゃんのご遺体を火葬させて頂いた事で1つの見解があります。

黒い部分の正体は、無機物の鉄分が集まったモノではないかと言う見解です。

例えば、ご遺体を寝かせて安置した際、血液は身体の下に集まります。

人のご葬儀に立ち会った経験がある方は思い出して頂きたいのですが、亡くなった方の顔は血の気が引き真っ白になります。

血液が重力に従って下に偏った結果、血の気を引いた状態です。

ペットちゃんは体毛があり、分かり難いのですが血液はやはり身体の下に溜まります。

この状態で火葬をすると血液が溜まった部分が赤黒い形で変色して残ります。

あばら周りのお骨は、下側は血液の色が移り赤黒い色や黒い色になります。

1000℃、1100℃と高温になり1時間30分も火葬する大型犬から900℃の一般的なペットちゃんまで同じご様子になります。

有機物、温度不足による残った煤ではないのは間違いないです。

血液が偏った事による部分的な変色です。

また、全身が赤っぽい、ピンク色っぽいご遺骨もあります。

これは、死後ある程度の長期間、常温、低温、凍結したご遺体は血液一部の色が骨にうつるのか全体的にご遺骨が薄ピンク、赤っぽくなります。

癌細胞、腫瘍はどうして黒っぽく残る?

血管新生

血管新生と言う言葉をご存じでしょうか?

癌細胞が大きくなる場合、多くの栄養と酸素が必要になります。

癌細胞は増殖する為に、新しい血管を生み出して酸素と栄養を確保する動きをする訳です。

参考サイト 九州工業大学 機械情報系 永山研究室より

酸素と血液を集める為に、血管どんどん生み出して行く図が載っております。

結果として、大きな腫瘍とは1つの血液の塊であり、血液の主成分

鉄分が黒い塊として残るのではないか?

1つ、仮説を立てた訳です。

腫瘍ではないですが、同じように頭部、脳があるところもやはり血液が固まりとして残るのか黒っぽい塊で残る場合があります。

4500件、ペットちゃんの火葬後に立ち会った獣医資格のない一僧侶の経験のお話になります。

黒い塊が本当に何なのか、火葬した後のご様子を見る事がほぼ無い獣医さんも答えが出せないかなと思います。

本当に実証するならば、残った黒い塊を成分分析と化学判定するしかないと思います。

光堂をご利用頂いたお客様よりお申し出あれば、検査するかも知れません。

色々な変色

黒っぽい塊があったり、ご遺骨の一部が黒や赤黒く残ったり。

全体的に赤みが移った遺骨や、灰が付着した遺骨もあれば

白っぽい遺骨もあります。

赤っぽい灰、ピンクっぽい灰、白っぽい灰。

そのペットちゃんの種類でも変わります。

赤身の魚、白身魚をイメージして頂くとわかりやすいのですが。

長距離を泳ぐマグロは赤身。

海底に潜んで瞬発的に獲物を獲るヒラメは白身。

ペットちゃんも長距離を走る犬ちゃんは赤っぽい灰が残り、

俊敏な猫ちゃんは白っぽい色の灰が残ります。

遅筋、速筋と筋肉の割合。

筋肉に含まれる鉄分の多さで赤っぽくなり、少なければ白っぽく残る。

それぞれその種族の個性であり、その子の個性ではないでしょうか。

残った黒い塊、腫瘍に凄くショックを受けるご遺族の方は多いです。

そのショックは、気づけなかった、気がつくのが後れてしまった事への後悔かも知れません。

ただ、そこまで大きな腫瘍になるには沢山の酸素と栄養が必要になります。

亡くなった子達にも、本当に大きな大きな負担です。

そんな大きな負担を背負いながら少しでも長くご家族様の側に居た。

黒い腫瘍は、一生懸命、ご家族様の側にいた証、その子の頑張って最後まで生きた証でもある訳です。

亡くなった子、旅立った子達は、その黒い塊を見て悲しまれるより、「最後まで頑張った事を」ご家族様に褒めて欲しいのが願いじゃないかなと思います。

最愛のペットちゃんとご家族様のお別れをお手伝いし、見守る立場として亡くなった子を褒めてあげて欲しいなと思う次第であります。

あとがき

※この記事内容は、あくまで参考にして下さい。

一僧侶です。

獣医さんのような何かの専門家ではありません。

ただ、4500件に及ぶ火葬後のペットちゃんのご遺骨を見ています。

2021年5月18日に執筆し2年間、黒いモノの正体は何なのか、色々と人に尋ねたり、考察し、調べて纏めた意見です。

ある程度の参考には出来るかと思いますが、信じるか否かは皆様の判断にお任せます。